バドミントンでの「点数を取る」を考える(感情を騙す)

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今回は、点数を取るの中でも「感情を騙す」について、お話をしていきます。

前回の記事:バドミントンでの「点数を取る」を考える(タイミングを狂わせる)

4)感情を騙す

「人は感情の生き物である」と言われるように特にトーナメント試合では喜怒哀楽がよく見られます。

勝って喜び、負けて悲しみ、うまくいかなくて怒り、緊張感やラリーを楽しむなど。

スポーツは展開が早いのでそのような感情が頻繁に出てきます。

感情の中で最もプレーに影響するのは「怒り」。

体がこわばり、呼吸が浅く早くなり、普段のプレーができなくなります。

試合ではそれぞれ個人の性格が現れやすく、それを観察することでその人が何に喜ぶのか、何に悲しむのか、何に怒るのか、何を楽しんでいるのかが見えてきます。

人それぞれ感情を動かす対象は様々ですが、それによって集中力が左右される程度が。

結果に注目しているのか、プレー自体に注目しているのか、周りからの評価に注目しているのかなど。

もしプレー自体に注目しているようなら…強敵です。なかなか集中力を下げてくれません。

表情や姿勢で感情はわかる

私が試合で観察しているのはそういう感情が現れる瞬間です。声に出さなくても表情や姿勢でわかることがあります。

「うまくいかなくて怒っているな」「意気揚々とご機嫌だな」「焦って不安に思っているな」「退屈に思っているな」など。

特にそれらが現れる瞬間はラリー直後。私はこの瞬間、結果に一喜一憂せずに相手はどんな感情だろうと観察しています。

そして、コーチをしているときも相手のしぐさや動作に注目させます。

チャンスは試合の終盤、相手がリードしていても、自分がリードしていても相手が「結語を考える」瞬間です。

「もうすぐ勝ちそうだ」「もうすぐ負けそうだ」などの言葉が頭をよぎった瞬間に脳血流量が下がり、体に力が入らなくなります。

もちろん相手が結語を考えたかどうかなんて言葉で出さない限りわかりにくいです。

逆に考えると自分がそういう結語を考えないように思考に気を付け、常に「今から!今から!」と考えます。

全日本シニアではいろいろな人がいます。

1年に一度のこの大会に懸けている人も多く、気持ちの入れ方は尋常ではありません。

もう数点で自分が勝つという状況で「まだまだ!これからこれから!」と声を張ってプレーする選手もいました。

それだけ結語を考えてうまくプレーできなくなることを身にしみてわかっているということでしょう。

①「怒り」の感情に飲み込まれない工夫

さて、プレーに最も危険な「怒り」の感情。

特にサービス場面では「怒り」を読まれて、タイミングを外されることがあります。

直前のエラーを考えていたり、原因を何かのせいにしたりしている場合です。

ですので「怒り」が心の中で起こっていたとしても表には「出さない」ようにすることが大切です。

10秒間深く呼吸をすることでもかなり収まりますが、そんな時間はラリー間に作れないかもしれません。

「ペアに○○して欲しい」「この状況が○○になって欲しい」などを考えるかもしれません。

しかし人や事実は変えられません。

そういう時は「事実や人など、変えられないことを変えようとしていること」、「相手や事実を支配しようとしていること」に気づかなければなりません。

それに気づけばそれらに囚われずに次の瞬間に集中することができるようになります。

特にダブルスなどでは変えられない人を変えようと、支配しようとすればするほど、ペアも自分も苦しみます。

ちょっとした考え方の工夫で感情をコントロールして「怒り」に対処していきましょう。

②感情を出す?出さない?

「怒り」は対処できます。

では次に逆の「喜び」です。

うまくいったときに喜ぶ、興奮する。当たり前のことだと思います。

しかし観察してみると「これに喜ぶんだな」ということがわかります。

強打で決まった時は「強打を打って決めたいんだな」ということがわかってきます。

強打をつなげばどうなるか、強打を打たせなければどうなるかを観察していくと、意外と調子に乗れないこともあります。

バドミントンでは常に相手に観察されています。

ラリーの度に感情を出すと、それだけ自分は何に注目しているのかを読まれやすくなるので、あまり出さないようにする工夫が大切です。

また逆に常に同じように声を出すことで読まさないようにすることもできます。

ジュニア選手などがよく声を出しているのはそういう感情を読まさないという作戦があるのかもしれません(声を出すことで自分自身に自信を持たせるということもあると思いますが)。

私自身の経験では声はあまり出しすぎない方がいいと思っています。

瞬間だけ「よしっ!」と言えば直後にすぐ忘れる。

ただの場面切り替え用に、気持ちを長引かせない合図として使うときがあります。

「前後裁断」という禅語がありますが大切にしています。

③無反応

もっともやりにくいのがこのタイプで、やる気があるのかないのかわかりにくく、何に喜ぶわけでも、何に怒るわけでもない。

ただ単に淡々とプレーをする選手です。

こういう選手はわざと感情を出さないようにして集中力をキープしています(のような気がします)。

試合が終わって話をすると非常に感情豊かな場合が多いです。

職人ともいうべきその姿には、そのような不気味なオーラが漂っています。

これも感情を隠して「そんなエラーは気にしないよ」や「それくらい決めて当たり前だよ」と騙したり、「当然あなたに勝つ自信があるよ」とまで錯覚させてしまうこともあるかもしれません。

まとめ

バドミントンは「いける!」や「やばい!」などの感情が体に影響しショットの良し悪しを大きく左右します。

感情をコントロールすることは非常にゲームメイクに影響を及ぼしますので、日々トレーニングを積まなければなりません。

地味な作業で時間はかかりますが、強い相手に打ち勝つためには必ず乗り越えなければならない壁です。

点数を取るためには必要な要素として考えてもらえれば幸いです。

〜ひとこと(筋肉を騙す)〜

スカッシュラケットなどの重いラケットを振るだけで、体はその重さに対応しようとします。

いかに速く、楽に振るかを工夫していくことでスイングはコンパクトで鋭くなります。

スイングは肘関節を先導させて動かしますが、振っているうちに体が効率のいい動き方を発見していきます。

ラケットヘッドを「8の字」に動かす運動は特にバドミントンの動きに近いので練習前などに振ってみるのもいいと思います。

またスカッシュのラケットは少しグリップが太いので、普通のバドミントンラケットを持った時、かなり扱いやすくなり、スマッシュのレシーブなどにも自信がついてきます。

トレーニングするというよりも筋肉に「これくらいは振れるんだよ」と騙すイメージでしょうか。

一生懸命やる必要はありません。嫌になりますので…。

ダンスしているように楽しんでやってみましょう!

この記事を書いた人有田圭一有田圭一
バドミントンの名門校として有名な、「東大阪大学柏原高校」バドミントン部元顧問 バドミントン協会公認コーチ 短期間で、選手を劇的に成長させるその指導手腕が注目され、 これまで数多くのバドミントン雑誌で取材を受ける。 また、バドミントンの技術研究と、効果的な上達ノウハウの普及活動に余念がなく、 全国のバドミントンプレーヤーに人気のサイト、「バドミントンアカデミー」を運営。 選手としては、中学から大学在学中まで、バドミントンをプレーしており 個人戦で、継続的に全国ベスト16~32の成績を残した、優秀な選手でもあった。 シニア選手としても活躍し、全日本はもちろん、世界シニアにも出場している。
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