【有田圭一】バドミントンの「打つ」を考える①(オーバーヘッド)

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バドミントンのシャトルは「打つ」と表現します。

英語では同じような意味でも「hit」「strike」「shot」などあり、微妙にニュアンスは違いますが日本語では他に表現がありません。

バドミントンの指導場面では「強く打て」や「奥に押し込め」、「ソフトに運べ」「しっかりと押さえて」など様々な表現が使われる場合があり、聞き手によってはそのニュアンスが伝わりにくいこともあります。

結局シャトルはラケットで「打つ」ことに変わりはないのですが

「打つ」とひとことで表現してしまうとイメージするショットを出せないことが多く起こります。

「打つ」までのシャトルの動き

では、まず「打つ」までに何が起こっているのかを初心者を例にあげて考えてみましょう。

シャトルはボールとは違い初速は速いですが大きく失速します。

初心者がシャトルを打つ場合、まず最初にイメージできないのが失速して飛んでくるシャトルの軌道です。

「どのように失速してどこに落ちてくるのか」がわかりません。

これはシャトルの番手や会場内の風、シャトルの消耗具合によっても変わってくるので上級者にとっても注意すべきところです。

上級者は相手の体勢や位置によってある程度ショットを予測し、打点やインパクト音、タイミングのズレを瞬間的にキャッチして、どこに落ちてくるか、またどの高さで打つとイメージしたショットを打つことができるかを判断します。

しかし、初心者はそのような蓄積した情報が少ないためどこに落ちてくるかが予測できません。

初心者への「失速」の感覚的な練習方法として打ち出されたロングハイサービスに対して素早く動いて落下点で止まり、キャッチする練習も面白いと思います。

「打つ」までの準備

シャトル落下点が把握できれば移動します。

まずはどんな動きでもいいので素早く落下点に、さらにシャトルを体の前に落下させられる位置に走りこまなければなりません。

体正面は落下点から最も遠いコート位置に向けるようにします(右奥からなら相手コート左奥へ)。

半身も使うことがありますが基本は正面です。

「フットワークを正しく使ってスムーズに」はある程度動けるようになってから練習すればいいでしょう。

そして構えますが、ラケットヘッドがシャトルに向かう時に大きく離れた位置から当てにいった場合、

あらかじめ打ちたい方向の逆側へラケットヘッドが準備できていないため、

インパクト直前でもラケットヘッドをシャトルに合わせるために操作してしまうためブレてしまい、

・スイートスポットを外したり
・タイミングがずれたり
・フレームに当たったり

というミスをしてしまいます。

ラケットヘッドが打つ前にシャトルから一度でも大きく離れてしまうと、その修正に大きな力が必要になるためです。

また、そのような力は下半身にも影響を及ぼすため、「立つ」バランスを崩してしまいます。

最近のラケットはかなり軽量化されていますのでラケットヘッド位置を修正する余計な力は軽減されるようになりましたが、

一瞬でも立っているバランスが崩れるとシャトルを打つ時のタイミングがずれてしまい、シャトルに力を加えることが難しくなることもあるので注意が必要です。

準備で大切なこと(右利きオーバーヘッドの場合)

・シャトルの後ろに早く入ること、後ろ走りでもOK。
 とにかく最初は落下点把握と移動を重視。

・シャトルの後ろでストップした時の床からの反力を大きくしないこと。

・ラケットヘッドはできるだけシャトルから近い位置へ準備すること。

・左手を大きく前へ突き出し打点の確認とテイクバックとのバランスを取ること。

・左手を大きく前へ突き出すことで右肩甲骨を後ろへ引くこと。

・左手は手のひらをシャトルの方向へ向けること
(肩甲骨が下げるため。肩甲骨が上がると重心位置が変わりタイミングがずれます。)

・半身になるとは限らず、むしろ正面向きが力のロスが少なく、
 自分から最も通い相手コート位置へシャトルを運びやすい。

・首はできるだけ曲げないようにし、目を動かすことでシャトルを見ること。

・腰骨(骨盤)を立てること
(背筋が伸び、軸が通り、視野が広がる)。

・小指以外の指は柔らかくグリップすること
(コースによってはラケット面の方向を変えるため)。

ーひとりごとー

ラケットを振ると言いますが、「振る」という表現は、英語では「shake」や「wave」でしょうか、これは左右に振るイメージが強いですね。

この動きだとシャトルを「打ち出す」ことは難しくなります。

バドミントンではラケットを「振る」と表現するよりも「スイングする」と表現したほうがいいのかもしれません。

英語の「swing」は“一定点を軸に前後などに規則正しく動く”と説明されているのでこの方がマッチしますね。

■有田圭一



バドミントンの名門校として有名な、「東大阪大学柏原高校」バドミントン部元顧問 
バドミントン協会公認コーチ
短期間で、選手を劇的に成長させるその指導手腕が注目され、 これまで数多くのバドミントン雑誌で取材を受ける。
また、バドミントンの技術研究と、効果的な上達ノウハウの普及活動に余念がなく、 全国のバドミントンプレーヤーに人気のサイト、「バドミントンアカデミー」を運営。
選手としては、中学から大学在学中まで、バドミントンをプレーしており 個人戦で、継続的に全国ベスト16~32の成績を残した、優秀な選手でもあった。
シニア選手としても活躍し、全日本はもちろん、世界シニアにも出場している。

※著書
「強くなるドリルシリーズ 強豪校の「マル秘」練習法、教えます!ダブルス編」ベースボールマガジン社
「強くなるドリルシリーズ34 強豪高校おすすめの練習法&名将たちの指導論を大公開」ベースボールマガジン社

※DVD 
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