バドミントンで「点数を取る」を考える④(騙す:フェイント)

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4.騙す(フェイント)

私が一番最初に人を騙したのは…「鬼ごっこ」でしょうか。

鬼でも逃げる方でも対面した相手にこちらに行くと見せかけるため(フェイント)に、体を傾けて入れたり、そちらを向いてみたりと、

いろいろな「フォーム」で相手を誘い、その逆を抜ける、もしくはそちらを選択させて捕まえるなどをしていました。

隠れるところがあるとわざと鬼に気づいていないふりをして隠れるところを見せるようにして、見えなくなった途端にに遠くにダッシュして逃げるなどの「場所」を騙したり、

さらに鬼に追いつかれそうになると「もうあきらめたわ~」と油断を誘って近寄ってきたときの一瞬のスキをついて猛ダッシュで逃げるなど「感情」を騙して「時間」を早くして騙したり(フェイント)しました。

また、ドッジボールで真正面を向きながら、正面にいる人をターゲットにしていると思わせて「思考」を騙し、視野の意識を広げて右横にいる人に投げて当てる、「横目」なんていう技もありました。

「あいつ横目使うぞ!」という声掛けもあったものです。

子供の頃からいろいろと工夫して騙して(フェイントをして)いたなと思い出しました。

バドミントンではどんなに速いスマッシュを打っても、ライン上に打っても100%は決まりません。

そこに相手がラケットをもっていけば返せるからです。

ですので思考やショットとタイミングを読まれてしまうとかなり不利な状況に追い込まれます。

それが上級者になればなるほど、確実に追い込み、ラリーなどしてくれません。

バドミントンなどの対人スポーツでは騙すこと(フェイント)なしでは有利にゲームを運ぶことはできないということです。

1)フォームで場所を騙す

①半身で騙す(フェイント)

ストレートに打つかクロスに打つか。

もちろん人それぞれ癖がありますので一概には言えませんが、私の感覚では体の向いている方向、もしくは肘を引いた逆側にシャトルが来ることが多いです。

右利きの場合ですが、フォアハンド奥からは十分に半身が作れればストレート、半身が浅ければクロス方向に来ることが多く、ラウンド側からは十分に半身が作れればクロス方向、浅ければストレート方向へと来ます。

「常に体を半身にして打たないといけない」と半身を作る練習を繰り返している人は、半身を正確なタイミングでやろうとするので、正面に戻すタイミングでどちらに来るかわかりやすくなります。

特にわかりやすいのが体の少し前へシャトルを上げてあげると、半身を戻しすぎてフォア側からはクロス方向に、ラウンド側からはストレートに来ます。

これに加えて、よくジャンプをする人は空中ではタイミング調整が難しいのでさらに読みやすくなります。

相手側からの話でしたが、このようにいつもフォームとタイミングは観察されています。

ではどう騙す(フェイント)かというと、逆をやるわけですね。

半身を大きく引いた時にフォア側からはクロス方向へ、ラウンド側からはストレート方向へ。

そして、体よりも少し前へ来た球に対しては足で体を前に運んで打点が前過ぎないようにするとフォア側からはストレート方向へ、ラウンド側からはクロス方向へ打ち込むことができます。

微妙なタイミング調整をしないといけないのでジャンプは控えめがいいと私は思います。

②ラケット面で騙す(フェイント)

以前は「左手を大きく前に突き出して、しっかりとテイクバックして体を横に向ける」指導が主流でしたが、現在は半身にあまりならず、やや正面を向いた感じで打つというフォームも多くみられるようになりました。

特にダブルスでは道具の進化もあり、ショットが速くなり、半身を作る時間がない場合が多く起こります。

特に顕著な例が女子ダブルスの松友選手ですが、彼女は常に正面を向いて打っている感じです。

私はダブルス後衛で彼女のように連続してアタックできるようにフォームを真似して練習し、その中で右肩甲骨を後ろに引いてテイクバック、左手を大きく前へ出すときに左肩甲骨を前に出すという動きで半身らしきものを形作るようにアレンジしました。

そのねじりも利用して元の正面に戻すだけでも、タイミングが合えばしっかりとした球が打てるようになりました。

これならスマッシュを打った後、体正面にレシーブを押しこまれてもタイミングを合わせて押し返したり沈めることができるようになりました。

さて、正面に近い形で構えるということはラケット面が相手に見られやすくなります。

ショットを読まれる原因は相手がラケット面を見ていることもあります。

初心者の段階ではストレートに打つ時はストレート方向に、クロスに打つ時はクロス方向にラケット面が向いていることが多くあります。

クロスカットが得意な人は打つ前からクロス方向にラット面が作られていることが多いです。ですから読めます。

正面を向いた形でインパクトする人も、半身を作ってインパクトをする人も、ラケット面はできるだけフラットに正面を向けているのがいいでしょう。

その方が押し込めますし、のちに説明するドロップショットも有効に使えるようになります。

そこからラケット面を少しストレート方向へ向けてからクロスに打ったり、クロス方向へ向けてからストレートへ打ったりすることで相手を騙しやすく(フェイントをしやすく)なると思います。

ひとりごと

今回はこの辺りで。次回は時間を騙します。

 

この記事を書いた人有田圭一有田圭一
バドミントンの名門校として有名な、「東大阪大学柏原高校」バドミントン部元顧問 バドミントン協会公認コーチ 短期間で、選手を劇的に成長させるその指導手腕が注目され、 これまで数多くのバドミントン雑誌で取材を受ける。 また、バドミントンの技術研究と、効果的な上達ノウハウの普及活動に余念がなく、 全国のバドミントンプレーヤーに人気のサイト、「バドミントンアカデミー」を運営。 選手としては、中学から大学在学中まで、バドミントンをプレーしており 個人戦で、継続的に全国ベスト16~32の成績を残した、優秀な選手でもあった。 シニア選手としても活躍し、全日本はもちろん、世界シニアにも出場している。
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