【岩垂コーチ】指導者が知るべき「ティーチング」と「コーチング」の違い

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今回は、前回の「ジュニア期に身につけておきたいトレーニングよりも大事なこと」に続き、「指導者や先生に知っておいて欲しいティーチングとコーチング」についてです。

彼らを自分の思い通りに指導したいという気持ち

指導者の方や保護者の方と話しをしていてよく出てくるのが、選手や生徒に対する、これらの思いや言葉です。

彼らに対して

  • 「言っても聞かない。」
  • 「言ってもやらない。」
  • 「全然がんばっていない。」
  • 「見ているとイライラする。」

これらは、指導に関わる中で一度は感じたことのある言葉ではないでしょうか。

どうしてこのような言葉が出てくるのかを指導者側から客観的に考えてみると、彼らを自分の思い通りにしたいという気持ちから出てくる言葉であることにも気づくことができます。

選手や生徒のために必死でがんばっているからこそ

  • 良くなって欲しい!
  • 目標を達成させてやりたい!
  • 試合で勝たせたい!

という気持ちも強くなるので、尚更「早くこうなって欲しい!」という気持ちは強くなるものです。

しかし、指導者や先生がこの気持ちを上手くコントロールできているうちはいいですが、コントロールできずに自らの感情が強くなってしまうと事件や問題につながります。

更には選手や生徒が指導者側に不信感を抱くようになり、お互いの関係性の悪化が起こります。

心当たりのある方もおられるのではないでしょうか。

そこで今回は、指導者や先生はどのような指導の仕方が最良なのかを書きます。

「ティーチング」と「コーチング」の違い

指導者と先生の役割として、「ティーチング」と「コーチング」があります。

「ティーチング」とは、選手や生徒に対し、知識やスキル、さらにはノウハウを教えることです。

そのため、これらの特性がみられます。

  • 上下関係ができる。
  • 指導者側が答えを教えるだけに終わってしまう。
  • 自らの思考より受動的になる。
  • 指導者に依存する。
  • 行いたいプレーへのモチベーションが下がる。

「コーチング」とは、選手や生徒の気持ちや考えを尊重しながら、考えさせたり気づかせたりすることで、やる気や能力、自主性や可能性を引き出すサポートすることです。

そのため、

  • 対等な関係。
  • 選手や生徒に答えを引き出させる。
  • 自発的。
  • 自立する。
  • 行いたいプレーへのモチベーションが上がる。

などの、能動的な要素を選手や生徒から引き出していける特性があります。

どちらの特性も理解した上で、指導者や先生は子ども達と接していく必要があります。

指導に当てはめてみる

それでは、冒頭で触れました「言っても聞かない。」「言ってもやらない。」「全然がんばっていない。」を「ティーチング」と「コーチング」に当てはめてみましょう。

①(選手や生徒に対して)「言ってもきかない。」

選手や生徒との関係性もさることながら、選手や生徒が求めてないことを指導者側が言ったりしていないでしょうか。

聞くというのは、相手が受け入れるスタンスでいないと成り立たないものです。

始めから相手が聞く気がないとしたら、話が伝わるはずがありません。

まずは、彼らの気持ちや考えを理解してからアプローチしていく必要があります。

よって、この場合は、ティーチングを重視するのではなく、コーチングを活かして相手の話しを聞くことから始めて、接していく必要があります。

②(選手や生徒に対して)「言ってもやらない。」

命令されることを嫌い自分の思った通りに行動したいのが人間です。

どんな言い方をしているのかが一番大事ですが、選手や生徒が自発的に行動できるようにするためには、彼らに自ら言わせるということが重要です。

よく、『いつ・どこで・何時までに・どのように』と言いますが、これを本人に言わせることで行動につながる確率は高くなります。

押し付けるのではなく、本人が自ら行動できるような言葉を発しさせ、彼らの言葉に沿って自らが行動できるようにサポートしていきましょう。

③(選手や生徒に対して)「全然がんばっていない。」

これは、そのまま言われれば傷つくのが生徒や選手であり、言われれば大人も傷つく言葉です。

指導者や先生からすると、目標とするレベルや自分の経験から出る言葉であり、今のままでは伸びていけないと判断するからこそ出てしまう言葉です。

選手や生徒はがんばっていないわけではありません。

本人達は彼らなりにがんばっているつもりです。

なぜ、お互いに意識の差が出てしまうのかと言うと、

  • そのレベルを知っているのか知らないのか
  • 自分でイメージできるのかできないのか

などの、ポイントポイントのレベルの到達点について、指導者側と彼らとの間の意識に大きな差があるからです。

実際にやっている姿は本人にはわからないものです。

ひとつの方法として映像で自分の姿を確認させることが大事であり、その姿が目指すレベルにつながっているかを考えさせることが重要です。

トッププレーヤーと指導している選手のプレー中の映像を比較しながら見せて、どこをどう改善した方が良いのかを指導することも一案です。

彼らが気づかないことには、選手や生徒は今の自分と目指す自分の差に納得ができず、なぜその練習が今必要なのかも理解できません。

指導者や先生は自分の感情をぶつける前に、選手や生徒にどうすれば気づいてもらえるかを考え、指導したいものです。

まとめ

日本の指導はティーチングを駆使してここまできました。

そのため、選手や生徒は「教えてもらうのが当たり前」という感覚があるように思います。

教えるということは、教える人の力量で選手や生徒の可能性を決めてしまうことにもなりかねません。

そう考えると責任は教える側は重大であり、彼らの一生も決めかねません。

だからこそ、教える側は学び続けることが重要です。

そして、私たちは、「ティーチング」だけではなく、「コーチング」を活かしながら選手や生徒の可能性を伸ばしていくことが同時に求められます。

自分の方が上であるという感覚は捨てて、対等な立場に立った時に、何を気づかせどうサポートして目標達成するかが見えてくるのではないでしょうか。

日本のスポーツをする子どもたちの未来のために、一緒にがんばっていきましょう。

お読みくださる方々も、自らの「ティーチング」と「コーチング」を今までどのようにおこなっていただろうかと冷静に内観し、気づいたところがあれば改善していくことをご一考いただければ幸いです。

次回のコラムも是非おつきあいください。

この記事を書いた人岩垂潤
長野県の松本・塩尻地域を中心に、茅野・諏訪地域や千曲・上田地域でも活動するバドミントンアカデミー、「ミンピーベーサー」のヘッドコーチを務めている。現在、園児から高校生までの子ども達が、自分の目標達成や夢に向かって切磋琢磨しながら、それぞれの特性や個々の実態に応じた指導を行っている。さらに、バドミントンのレベルアップだけでなく、メンタルコーチとして人としての生きる力を高めることにも力を入れて活動している。