【有田圭一】「移動する」を考える②(姿勢と動き出し)

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「放物線を描くように移動する」というお話も含めて前回は考えてみました。

今回は具体的にどのようなことを意識しながら移動をし始めればいいかを考えたいと思います。

姿勢は低く構える

バドミントンは体の周りの360度、近く飛んで切る球から遠い球まで、さらには地面すれすれのシャトルまで返球しなければなりません。

さほど移動しなくてもよい時もあれば遠くまで早く移動しないといけない場合もありますが、遠くの球を返球する場合は足を大きく広げるために目線の位置が下がります。

構えている姿勢の目線の位置が高いと、それは高い位置から低い位置へ大きく移動することとなります。

この高低差が大きくなればなるほど着地した右足への衝撃が大きくなってしまうため、目線がブレて、シャトルをしっかりと目でとらえることが難しくなったり、ラケットヘッドが微妙にズレてショットのコントロールが難しくなります。

このブレを解消するためにできるだけ構える姿勢は低く保つことが大切となってきます。

どこまで低く構えればよいかは人それぞれですが、一つの指標として膝の角度は135度といわれています。(「BADMINTON バドミントンの指導理論1」阿部一佳著,P25「プレ・ローディングの考え方」より)

足の広がり幅によっては股関節の角度は異なりますが、私の感覚では足幅は肩幅大くらいが動きやすいと低く構えることもできるを感じます。

あらかじめ低くとった姿勢から移動できれば着地時の衝撃を小さくできます。

さらに「着地音を小さくする」ことを意識すること(TAGOKENさんYoutubeより)で、より衝撃を小さくできますね。

シャトルのコントロールは非常に繊細な作業のため、

・低く構えること

・着地音を地策すること

を意識することは非常に大切です。

どう立つか(体重の乗せ方)

相手はこちらにいい体勢でショットを打たれると戦術を組み立てにくいので、打つタイミングを狂わせたり、右に打つふりをして左側へ、前に落とすふりをして後ろへというように色々と工夫を加えてきます。

この時に自分がコートにどのように体重を乗せて立てているかは非常に大切な要素になります。

右に体重を乗せていれば右への移動が難しくなるように、どちらかの方向に傾いているとその状態を見抜かれて動きづらい方向を狙われてしまいます。

左右方向に関しては体重を両足に対して均等に分散して乗せることが理想です。

しかし前後方向に関しては、人それぞれ体軸バランスのとり方が異なるため、乗せ方に注意が必要です。

前方に体重を乗せる「つま先重心」を得意とする人もいれば、後方に体重を乗せる「かかと重心」を得意とする人もいるからです。

私はかかと重心で体重を乗せ、バランスをとる方が動きやすいので、骨盤を立てる姿勢が安定します。

そのため上半身は少し起き上がっているように見えます。

指導される立場にある方は「つま先立ち」と「かかと立ち」は人それぞれ向き不向きがあると認識されている方がよろしいと思います。

床を蹴って動くリスク

「動かないとシャトルに追いつけない」と考えると、まずフットワークをいかに効率よく行うかが重要となってきます。

床を強く蹴って、早く動き出すというように。

私もできるだけ強く床を蹴って動き出すことが重要であると30歳代前半までは考えてました。

しかし「蹴る」動作では筋力を消耗しすぎて疲れてしまうことが多く起こっていました。

考えを改めないとと振り返った時、高校時代の近畿大会シングルス準決勝で両太ももに痙攣を起こして負けてしまったことや、

全日本シニアのダブルス準決勝で1ゲーム目は速い動きで勝ち取るものの、ファイナルゲームでは足が止まり逆転負け負けたしたことなどが思い出されました。

当時は足が疲れないようにトレーニングして強い下半身を作ればいいと、フットワーク、スクワット、縄跳びなどをかなりの負荷で行なっていました。

しかし、それでも終盤になると疲れて足が止まってしまう。

これではいくらトレーニングしても筋力の消耗が激しいと疲れからは免れることができないと感じました。

抜重で体力をセーブ

どのように動き出せばいいのかを考えていた時にヒントになると興味を惹かれたのが

古武術の「蹴らない」「捻らない」を基本動作とした「ナンバ歩き」でした。

江戸時代の飛脚には1日に200から300kmも走る人がいたと伝えられています。

この方法を取り入れて世界陸上で銅メダルを獲得した末続慎吾選手の記事や同じく陸上選手であった為末大氏の書籍を読み漁ったり、甲野善紀氏の古武術講習会などにも参加しました。

その中で伝えられていた「抜重」がバドミントンの動き出しに必要ではないかと注目し、当時のトップ選手の動画を見ると、

タウフィック・ヒダヤット選手やピーター・ゲード選手、リン・ダン選手、さらにリー・チョンウェイ選手はこの抜重を非常に滑らかに使い動き出していることがわかってきました。

日本選手の中では佐々木翔選手が最もその人たちに近い動きが再現されていました。

私もそれまで行なっていたジャンプしてからのリアクションステップをできるだけジャンプをしない抜重中心のリアクションステップへと変えていきました。

そうすることで終盤に足が疲れて動きが鈍くなるのが少なくなることが試合で実感できるようになってきました。

この記事を書いた人有田圭一有田圭一
バドミントンの名門校として有名な、「東大阪大学柏原高校」バドミントン部元顧問 バドミントン協会公認コーチ 短期間で、選手を劇的に成長させるその指導手腕が注目され、 これまで数多くのバドミントン雑誌で取材を受ける。 また、バドミントンの技術研究と、効果的な上達ノウハウの普及活動に余念がなく、 全国のバドミントンプレーヤーに人気のサイト、「バドミントンアカデミー」を運営。 選手としては、中学から大学在学中まで、バドミントンをプレーしており 個人戦で、継続的に全国ベスト16~32の成績を残した、優秀な選手でもあった。 シニア選手としても活躍し、全日本はもちろん、世界シニアにも出場している。
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