【有田圭一 コーチ】練習の「工夫」を考える①

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バドミントンを始めたのは中学生からですが、当時は全国優勝していた有名校でしたので、入部前から山ランニングや休みは年末年始の3日間しかないといううわさも聞いていて、そんな厳しいのはちょっと…ということで入部する部員は少なく、各学年2~3人でした。

中学、高校、短大と3つのチームでしたので交代でコートを使い、コートが使えないときは屋外でランニングやダッシュ、屋内ではトレーニングをやりました。

始めたての頃はやはりモチベーションが高くなかったのか、先生には「レクレーション部」や「遊びでやるなら帰っていいよ」とよく言われていました。

練習から外される

そんなある日、私は熱を出してしまい部活動を休みました。

翌日回復したので部活に参加しましたが、その翌日にまた熱が出てしまい休むことに。

翌日体調が回復したので部活動に行くと「そんな気持ちではもう練習に入れることはできない」と先生から言われ、練習から外されました。

「熱だったのに?」と最初は思いました。

悔しい気持ちが強くて部活を続けるかどうか最初は悩みました。

どうしようかと考えながら、屋内の練習には入れないので外でランニングしたりダッシュしたりソフトボール投げをする悶々とした日々が1週間続きました。

そして決断したのが「スケジュール表」を提出することでした。

自分で決めた1日のトレーニングスケジュールを先生に提出しました。

「やってやる!」という気持ちで持っていきました。

その日はそれを実行。すると翌日から練習に参加しなさいと言われ参加しました。

「あれ?もう少し自分でやりたかったんだけど…」と正直思いましたが、練習に入れてくれることはうれしいことなのでよろしくお願いします!と参加できるようになりました。

環境のせいにしたくない

中学生の間は指示された練習メニューをこなすだけで上達していきました。

そのおかげで中学初めでしたが近畿大会を団体戦優勝、ダブルス2位で抜け、全国大会にも出場することができました。

そして高校へ進学。中学の同級生たちはそれぞれ違う県のトップ私立高校へと進学し、強化クラブ扱いで環境も優遇されていました。

私は公立高校に進学しました。

県ではトップ校でしたが、環境的には他の部と平等なので2面とコート間を男女で分ける練習の日々がづづきました。

さらに隣では体操部が練習していたので床は粉だらけ。

決して恵まれた環境ではありませんでした。

必然的に屋外でのトレーニングが増えます。

学校の周りは古墳が多く、飽きない(?)ランニングコースが豊富でした。古墳周りでしたが坂道などもありました。

他府県の同級生たちに近畿大会等で出会ったときに恥ずかしい試合はしたくないという思いから、ただ走るのではなく、坂道ではダッシュや両足飛びなどを入れました。

当然息があがりますが、その後は走りながら息を整えました。

アドバイス

コート外では先輩たちのプレーを見ながらよく真似をしました。

相手をしてもらったときはうまくいかない原因を聞くと熱心にアドバイスをくれました。

たまに行く練習試合では、対戦した高校の顧問の先生にもアドバイスを受けに並んでいると、これはチャンス!とばかり対戦した相手が目の前でアドバイスを受けている内容もよく聞いていました。

「なるほど、そういうところを攻め込まれたのか…」とか自分の長所や短所が他人に対するアドバイスからよくわかりました。

自校の選手の後ろに他校の私が並んでいるので先生もアドバイスしにくかったと思いますが、おそらく聞こえるように話されていたのだと思います。

私も指導する立場になってから、近くに他校の選手がいたとしても、周りに聞こえるように話するようになりました。

中にはただ並んでいるだけでお喋りしながら前の人へのアドバイスに全く耳を傾けておらず、自分の番になったら「お願いします!」と声だけ出す人もいますが…仕方がありませんね…。

なぜ頑張る?

大学に進学しましたが、ここも推薦入試を行っている強豪私立大学ではなく、学生リーグでは4部という一般の大学でした。

入学試験の実技で相手していただいた学生のレベルを見ると、おそらく私が部内で一番だろうと予想させるものでした。

1、2年生の間は他大学に進学した同級生に誘ってもらい練習に行かせてもらい、そこでも先輩方に色々と指導していただきました。

西日本でベスト8に入り、インカレに出場するなどある程度の結果は出ていました。

しかし、3、4年生になると練習先大学の後輩に負けるのが嫌で出稽古が億劫になっていきました。

自校での練習では負けることはなく、やや退屈な日々を過ごしていました。

この頃はモチベーションが下がり、よく他の趣味などを優先させては練習をさぼり、しっかりと太りました(笑)。

しかし試合でははっきりと結果が出ます。徐々に年下に負けていく自分をこのままでいいのかと自問自答していました。

もう一度!

4年生になると弟が入学してきました。

ジュニアナショナルメンバーだった弟と、それに加えて全国経験者も在籍するようになっていた部で主将を任され、「もう一度やってみよう!」という意気込みが生まれてきました。

部活のモットーは「楽しんで勝つ!」でした。

それまでの必要かどうかわからない古い慣わしは廃止し、いかに効率よく楽しんで勝てるかを考えていきました。

私には初心者を見る余裕がなかったのでそのあたりは弟に任せました。

弟は非常にうまく指導するため、みるみるうちに強化してチームが強くなっていくのがわかりました。

私はとにかく自分が勝利のカギとなると思い、自己研鑽に周りを巻き込んでいきました。

― ひとこと ―

「FFS理論」によると、興味があることに対してまずやってみるという「拡散性」の性格を持つ人、そして日本人に多い、しっかりと準備して失敗しないようにしてから始める「保全性」の性格を持つ人が紹介されています。

この2つは対比されるので例に挙げましたが、拡散性の性格を持つ人はかなりハードルの高いことでもまずやってみます。

何度失敗しても面白さが続く限り続け、そのうちできるようになることが多いとのことでした。

しかし面白くなくなると興味は違うことに向けられ、やめてしまうとのことでした。

自信をつけるというよりは、何でもやってみて、そのうちにレベルが高くなっているという感じでしょうか。

一方「保全性」の性格は、まずやってみるということがなかなかできません。

誰かに背中を押されて始めることも多いそうです。

そして小さい目標を作って、小さな成功体験を積み重ねることで自信がついていき、やがて大きな目標を達成するそうです。

私もどちらかというと準備をしっかりとしなければ不安が残るので、頭であれこれと考えてから始めるタイプだと思います。

そして目には見えにくい工夫を少しずつ加えながら小さな目標を達成していくことで自信を育ててきたのかもしれません。

今でも自信があるのか?と言われればないところばかりですが…自己否定はしないようにしています。

5つに分類された性格があるので指導場面や対話場面に気を付ければ一人一人の才能が発揮されるとのことでした。

ちなみに私は「弁別性」でした。

一人一人を観察しながら、性格を分析していくと皆が活躍できる場が作れるかもしれません。興味がわいた方は是非ご一読ください。

「あなたの知らないあなたの強み~宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる~」古野俊幸著(日経BP)

この記事を書いた人有田圭一有田圭一
バドミントンの名門校として有名な、「東大阪大学柏原高校」バドミントン部元顧問 バドミントン協会公認コーチ 短期間で、選手を劇的に成長させるその指導手腕が注目され、 これまで数多くのバドミントン雑誌で取材を受ける。 また、バドミントンの技術研究と、効果的な上達ノウハウの普及活動に余念がなく、 全国のバドミントンプレーヤーに人気のサイト、「バドミントンアカデミー」を運営。 選手としては、中学から大学在学中まで、バドミントンをプレーしており 個人戦で、継続的に全国ベスト16~32の成績を残した、優秀な選手でもあった。 シニア選手としても活躍し、全日本はもちろん、世界シニアにも出場している。
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