【有田圭一コーチ】「イメージとのズレ」を考える

有田圭一 パフォーマンスUP

“百獣の王”武井壮さんが、現役選手時代にどうすれば勝てるのかを考えて気づかれたのは、勝てるフォームイメージどおりに体を動かすということでした。

そこから、「自分の体をイメージ通りに動かす」ことを、日々実践されました。

例えば、腕を水平に上げ、水平でない場合に修正を繰り返したということです。

簡単そうで、気づかない細かい部分。

なかなか、独りで鏡の前でできることではありません。

足を動かす場合も同じで、思ったよりも上がっていないこともあると思います。

私自身も、年齢を重ねれば重ねるほど、自分のイメージと実際の違いに愕然となります。

数年前、韓氏意拳という拳法の型を体験させてもらったことがありますが、模範を見ながら真似をしていても形が違っていました。

「こうしますよ」と見せてもらっても、そのとおりにできておらず、「目の前で見せてもらっても真似できないのか!」と瞬間的に自分自身を否定してしまうこともありました。

初心者ということもあり、間違いを受け入れて稽古を続けられましたが、長年やっているバドミントンでは「こうなってますよ」とアドバイスを受けたとしても、修正に非常に時間がかかってしまいます。

失敗に対する恐怖感から、体が思うように動かなくなることさえあります。

いつも生徒に、「エラーしてもいいんだよ」なんて気軽に声掛けをしていますが、自分事となると「エラーするのが怖い!」と体が拒否してしまいます。

成功体験なんて、邪魔にしかならないことが多いです。

以前に組ましていただいた方(元インハイチャンピオン)のサービスがすごく上手だったので、後ろからじっと観察していました。

「サービスをうまく入れるコツは何ですか?」と質問すると、「ラケットを平行に押し出すように打ち出しますが、手首は固定して使いません。」と話されました。

「めっちゃ練習しましたよ!」と話されました。

勝つために血がにじむほど練習して、体にしみこませたんだろうと思いました。

バドミントンの指導の場面でもよくありますが、例えば左手を伸ばしてシャトルをつかむように指示しても、実際には左肘が曲がっていたり、シャトルと全く違う方向へ腕を伸ばしていたりしています。

いざシャトルを打つとなると、焦って元の間違った形になってしまうのでした。

まだシャトルを打つのは早いなと素振りで修正するのですが、その時は治ってもまたシャトルを打つ時になれば元に戻ります。

理想の指導場面としては、ただ感覚に身を任せながら打ってみて、

  • 今のはいい!
  • 今のは〇〇がダメ!

という瞬時の評価を繰り返されながら、修正してくのがいいと思います。

自分自身で評価することも大切ですが、左脳で「ああして、こうして」と考えると同時に、右脳で感覚に身をまかせるなんてできません。

左脳で「〇〇する!」と決めたら、後は右脳の活動をそっと見守る視点が必要になります。

イメージとは違った実際

練習風景を動画に収めて見直してみると、色々なところに気づくことができます。

ダブルスでは、サービス場面で先手を取られると、最後まで一方的に押し込まれることがあります。

私自身の映像を見てみると、特にフォア側サイド側のサービスに対して追い込まれることが多く、よく狙われていました。

なぜなのかをよく観察すると、前足と後ろ足の位置関係が縦並びで、サイドライン側に隙があるのがわかりました。

以前に見た動画から、この部分は修正できていたと思っていたのですが、元の隙のある形に戻っていました。

元に戻っているのを見たときに、まだまだ型が身についていないなと思いました。

「なぜ狙われるのか」

それは、形に隙があるからです。

拳法の達人がただ立っているだけで、相手は「隙がなく近づけない!」というようなシーンも見たことがありますが、特にバドミントンの動いてはいけないサービスの場面でも、立ち位置や構えなどある共通の型があると思います。

まだまだ私自身がそこまで到達できていないので明確には言えませんが、多くの上級者の構え位置や型を見るだけでもいいイメージづくりとなると思います。

感情が色眼鏡になる

ゲームで大差をつけられていたり、同じショットで追い込まれ続けるとマイナス感情が出てきてしまいます。

強い相手と対峙している状況を楽しめれば「挑戦」できるのですが、自己否定してしまうと思うように動かせない自分の体を恨めしく思ってしまいます。

  • 足が出ていない!
  • ショットが沈まない!
  • 強く返せない!

など、「ないない」尽くしになっていると、いい結果に繋がったことはありません。

その後、映像などを見て振り返ってみると、もちろん動けていないところや隙のある形が目に入ってきます。

が、自分が試合中に感じていたよりも、悪い状態ではないことに気づかされました。

試合中は、視界から見えた

  • 体の傾き
  • バランス
  • リズム感覚

に過小評価をして、「全くできていない!」と全てをひっくるめて自己否定しているのですが、実際のところはそれほどでもないのです。

自己否定する感情が過小評価させているということに改めて気付かされ、新たな発見となりました。

もちろん、隙のある型は修正していく必要があります。

相手も揺さぶりながら隙を狙ってくるので、

  • きっかけになっているショット
  • その後の自分の型の隙

どれだけ修正できるかが鍵となってくると、思っています。

―ひとこと―

おそらくどのレベルでも、自己否定から過小評価すると、いい型への感覚づくりが難しくなるのではないかと思います。

ゲーム中に修正できることとできないことをしっかりと区別して、できないことは考え過ぎずに覚えておく程度にしておき、試合を離れてから改めて自己分析してみると、感情による過小評価イメージを増大しないと思います。

上達のための自己分析を進めていく上で、ご参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人有田圭一有田圭一
バドミントンの名門校として有名な、「東大阪大学柏原高校」バドミントン部元顧問 バドミントン協会公認コーチ 短期間で、選手を劇的に成長させるその指導手腕が注目され、 これまで数多くのバドミントン雑誌で取材を受ける。 また、バドミントンの技術研究と、効果的な上達ノウハウの普及活動に余念がなく、 全国のバドミントンプレーヤーに人気のサイト、「バドミントンアカデミー」を運営。 選手としては、中学から大学在学中まで、バドミントンをプレーしており 個人戦で、継続的に全国ベスト16~32の成績を残した、優秀な選手でもあった。 シニア選手としても活躍し、全日本はもちろん、世界シニアにも出場している。
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